Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「何にもしないことがあるものか、若い娘の癖に、銭箱なんか覗いたりして、この中にはからくりも品玉もありゃしないよ、――あ、八五郎親分、ちょうどよいところでした。この娘を縛って行っていきなり二三束引っ叩いてみて下さいよ。泥を吐かなかったら、お詫びをしますから、さ」
お秀は娘の肩を掴んで、ガラッ八の方に押しやるのです。
「泥鰌みたいなことを言うなよ、可哀想に娘は泣いてるじゃないか」
八五郎はノッソリと店先へ入って来て、張りきったお秀の顔と、シクシク泣いている、貧しそうな娘の顔を見比べております。
「泣くのは術ですよ。冗談じゃない、早くなんとかしなきゃ、人立ちがするじゃありませんか。――この間から変なことばかり続くと思ったら、やはり物盗りだったのねエ」
お秀の片頬には、意地の悪そうな――そのくせ滅法魅力的な冷笑が浮ぶのでした。
「どうにも仕様がないじゃないか、銭箱を覗いたって、小判が蛙に化けるわけじゃあるめえ。人間気の持ちようじゃ、銭箱も雪隠も覗くだろうじゃないか。それだけの事で人一人縛るわけには行かねえよ」
八五郎はこんな事を言いながら、なんとかして娘を逃がしてやりたい心持になっているのでした。