Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
お秀の怒りは紛々として容易に納まりそうもありません。
「そんな事をいえば、世間には怪しい人間は沢山あるよ。それをいちいちとがめたり縛ったりしていた日には、江戸の人間の半分ほどは岡っ引にしなきゃなるまい。ちょいと怪しい事があっても、何事もなく済めばそれでいいとしたものさ」
「そんな事があるものですか、親分。怪しい奴や怪しい事を、江戸中にないようにするのが、親分方の務めじゃありませんか」
お秀もなかなか負けてはおりませんでした。
「俺達の眼から見れば、――お前たちは気が付かないだろうが、――この店にだって二つや三つの怪しい事がある。それをいちいちとがめ立てすると、楊枝で重箱の隅をほじくるようになるから、なるべく素知らぬ顔をして、何事もなくて済むように仕向けるのが、俺たちの本当の務めさ。人間を縛ることなどは、末の末だよ」
平次は少し道学先生めきました。お秀のいきり立ったのを撫めて、ガラッ八の間の悪い立場を救うためだったのでしょう。
「二つ三つ怪しい事? 気になるじゃありませんか、親分。どんな事が怪しいんです。訊かして下さいな」
お秀は少しからかい気味になりました。