Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
六
「見えないようだが」
「質にでも入れたんでしょう」
それでは疑う張合いもありません。平次はもういちど二階へ行きました。念のため格子へブラ下げて朝陽に干してあった袷が弁次郎のだということを確かめ、その腰のあたりから埃をつまみ取って、それから二人の履物をしらべて、
「相吉と弁次郎と、どっちが声が大きいんだ」
こんな変なことまでも訊きます。
「弁次郎さんは柄に似ない小さい優しい声で、相吉さんは大きな声ですよ」
「よしよし、とんだ世話になったな」
平次はお世辞を言い捨てて、疾風のごとく両国の水茶屋に引返しました。
六
「八、解ったよ」
平次はいきなりこんなことを言いながら飛び込んだのです。
「何が解ったんで、親分?」
八五郎は顔へ掛った蜘蛛の巣でも払うような手付きをしました。
「みんな解ったよ、鞍掛宇八郎を殺した奴も、――盗んだ金を隠した場所も」
「えッ」
「鞍掛宇八郎を刺した血刀がないんで俺は骨を折ったが、眼の前の大川が流れていることに気が付かなかったんだ。ちょっと出て俺の立てた目印のあたりを覗いて見ねえ、底に脇差が一口沈んでいるのが、よく見えるぜ」
平次の言葉の予想外さに、なんとなく皆んな顔見合せて黙りこくってしまいました。