Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
「三年前、処刑になるばかりのところを縄抜けをして行方知れずになったとは聴いておりますが」
「それから」
「その先は何にも知りません」
「そのお狩場の四郎が、お前さん一家をうんと怨んでいるような事はないだろうか」
平次は大事な質問まで漕ぎつけました。
「そんな事があるかも知れませんが、それはとんだ筋違いでございます。さんざん悪いことをした者が上役人に縛られて、処刑に上るは当り前のことで、隠れ家を知っていた私が、お役人に責められて包み兼ねて申上げたのは、いわば御奉公の一つでございます。お狩場の四郎などに怨まれる筋合はございません。もしお狩場の四郎がそんな事を根に持って、娘を殺すような事があったら――」
六兵衛はどこともなく睨み据えるのです。娘を殺したのがお狩場の四郎だったら、飛びかかって、噛み殺しもし兼ねまじき、動物的な本能の怒りが、この老人を一瞬この上もない猛々しいものに見せるのです。
平次は六兵衛の当てのない忿怒を見捨て、ガラッ八と一緒に奥へ通りました。番頭手代、奉公人たちがあちこちの隅から不安な眼を光らせますが、平次の身分を知っているのか知らないのか、進んで案内をしようと言うものもありません。