Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme
彦三郎の顔はさすがに曇ります。
「ちょいと、御容体だけでも――」
「あ、いいとも。疑念の残らないように、よく見て行くがいい」
彦三郎は、先に立って、サッサと奥へ入って行きました。奥といっても、至って質素な家屋で、大きな道場を除くと、人間の住めそうな部屋は幾つもありません。ゆうべ林彦三郎が酔っ払って下男部屋へもぐり込んだというのも尤もなことでした。
「お半殿、町方の御用を勤める平次親分が来たが――」
「どうぞ」
物の気はいがして、中から静かに障子を開けたのは、十九か――せいぜい二十歳とも見える、綺麗な娘でした。去年の秋自害して果てたという姉のお類は知りませんが、妹のお半の美しさと高貴さは、平次もちょっと立ち止まったほどです。
「…………」
平次は自分の職業的な姿や気持に、妙に浅ましさを感じてそっと一礼して、黙ったまま部屋の中に滑り込みました。
主人の柴田弾右衛門は、五十六七の中老人で、まだ老い朽ちた年ではありませんが、半歳の病気に蝕まれて、少しむくんだ、鉛色の顔などを見ると、卒中性の鼾を聞かなくても、人など殺せる容体ではないことは余りにも明らかです。
「昨日までは起きていなすったんですね、お嬢さん」