Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

五

亥刻半(十一時)少し廻った頃で、たいそうな機嫌でしたよ」

「それから誰も出たものはないのか」

「犬っころ一匹出ません。表戸はこの私が閉めたんですから」

「裏から出る手もあるぜ」

「裏は宵のうちに閉めてしまいましたよ」

「林さんはたいそう酔っていたそうだね」

「ヘエ――、ここへ転げ込んで、とうとう泊ってしまいました」

「ここでまた飲んだそうじゃないか」

「とんでもない、ここにはろくな茶もありません」

平次の仕掛けた罠は見事に外れました。

五

平次はそれっきり引揚げたのです。

「親分、何だってあの野郎を縛らなかったんで」

「誰だい」

「下手人は林彦三郎とかいう浪人者に決っているじゃありませんか。あの熊吉と口を合せて、昨夜どこへも出なかったことにしているに違いないじゃありませんか」

ガラッ八は不平で一パイでした。

「そう判っているなら、戻って縛るがいい。あの林彦三郎というのは、中条流の使い手だ。丸橋忠弥を挙げるほどの手数を覚悟するがいい」

「じゃ親分は、怪我が大きくなりそうだから、見す見す怪しい野郎を放っておくんで」

「馬鹿ッ」

「ヘエ」

「なんという口の利きようだ」

平次の叱咤は峻烈を極めました。