Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

「あッ、逃げ出すんじゃありませんか、縛ってしまいましょう」

飛出そうとするガラッ八、平次はその肘を押えました。

「待て、あんな恰好で逃げ出す人間があるものか、トボトボと地獄へでも行く人の姿じゃないか。あッ上草履を履いたきりだ。八」

「親分」

「後の始末をした上で、死ぬ気だったんだ」

「引きとめましょうか、親分」

佐助の姿は真にトボトボと裏口の闇の中に消えて行くのです。

「――いや、放っておいちゃ悪い。あれを獄門台に載せるのは慈悲じゃねえ、八」

「ヘエ――」

八五郎は飛んで行きました。

平次は自分の胸の前に犇と両掌を組んで、耳をすましております。サッと吹いてくる夜風が、生温かく初夏の匂いを運んで、どうにもならない異な心持にさいなまれます。

「番頭さん」

「番頭さん」

二人ばかり小僧が脅えたように呼び立てながら店から出て来ました。

「番頭さんは裏へ出て行ったよ」

平次は闇の中を指します。

「提灯を持って来るがいい」

「ヘエ――」

何か駆り立てられるような心持で裏へ出ると、月の光の中に、真っ黒に立ったのは、大きな物置です。八五郎はそれに気が付かずに、お濠の方へ行った様子です。