Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.130 Zeichen · 288 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

「ところでもう一度訊くが、小三郎は昨夜どこへ行ったんだ」

「…………」

改めて平次は訊ねましたが、小三郎は俯向いたきり応えようともしません。

「宵から朝までいなかったのか」

「いえ――夜中過ぎには帰ったようでございます」

番頭の市助は取りなし顔に言いました。

「どうしても昨夜行った先を言いたくないのか」

「…………」

ようやく挙げた小三郎の顔には、悲しい苦悩が漲ります。

「主殺しの疑いを受けることになるが、構わないだろうな」

「親分さん」

と小三郎。

「言ってしまっちゃどうだ」

「言っても本当にしないでしょうし、できることなら言いたくありません」

小三郎はそう言って、ガックリ首を垂れるのでした。

「それじゃ幾松に聞くが、お前も家をあけたそうじゃないか」

平次の眼は小三郎から幾松に転じました。少し逞しい無愛想な小三郎に比べて、弱々しくて愛嬌のある幾松は、岡っ引にとって扱いいい相手らしく見えます。

「ヘエ――」

苦い微笑が唇に浮んだと思うと、サッと拭き取ったように消えました。

「どこかの稽古所へでも潜り込んでいたんだろう。言いにくいことがあっても、隠さない方が身のためだぜ」