Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

びっくりして大声を出すと、若旦那の甲子太郎様や、奉公人たちが多勢飛んで来ましたが、――殺されたとなると、お上向きも面倒になるし、商売柄人様に怨まれているからだと、世間様に思われるのも口惜しいから、鴨居に扱帯を掛けて自分で縊れ死んだということにして検屍まで受けたのでございます」

お茂与は静かな調子ながら一糸乱れずに説明して行くのです。

「主人は中風だと言ったね」

と平次。

「え、大した不自由はございませんでしたが、それでも中気でブラブラしている御主人が、鴨居へ扱帯などをかけて、自害するような、そんなことが御自分で出来るはずもございません」

踏台をして覗いてみると、高い鴨居には、如何さま扱帯を通したらしく埃を拭き取った跡もありますが、中気の老人が、危なっかしい踏台をして、ここへ扱帯を通すということは、ちょっと受取り難いことです。

「その細工に使った扱帯はどれだ」

「これでございます」

お茂与が取出して見せた扱帯は艶かしくも赤い縮緬で、その端っこの方には、細い紐か何か堅く結んだような痕があります。

「誰のだえ」

「亡くなったお嬢さんので――」

「フーム」

平次も妙な心持になります。