Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「ゆうべ外へ出なかったでしょうな」

平次の調子も、相手の品位に押されて物静かでした。

「ちょっと出かけました」

お道の言葉は予想外です。

「どこへ――」

「勇次郎様にお茶を差上げました」

「…………」

「若旦那も御承知の上でございます。勇次郎様は御酒を召上がらないので、ときどき薄茶を欲しいとおっしゃいます」

「?」

「ゆうべも晩の御飯が済んでお帰りの時、後でお茶が欲しいが――と遠慮しいしいおっしゃるので、下女の初やと一緒に離室へ参って、薄茶を一服差上げて帰りました」

勇次郎に逢った最後の人でしょう。でも下女と一緒に行って一緒に帰ったという娘――この静かさと聡明さには、何の疑問を挟む余地もありません。

下女のお初を呼んで訊くと、正にお道の言った通り、勇次郎の望みで、荘太郎の許しを受けて離室へ行き、薄茶を立てて、四半刻(三十分)ほど経ったというだけの事でした。

五

「親分、晩飯の後で母屋から出たのは、あのお道という娘一人ですよ」

八五郎の報告は平次の調べとピタリと一致しました。

「それでいいよ」

と平次。

「もっとも皆んな寝鎮まってから、脱け出そうと思えば、誰でも自由に脱け出せますがね」