Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「あ、お静さん、――助けて、――お願い、――私じゃない、――私は何にも知らなかったんだから」

救いを求める言葉が、笹紅を含んだ小染の唇から迸りました。

「えッ、黙らないか」

縄尻がピシリと鳴りました。

その後から跟いて来た銅八の赭い顔は、疾風迅雷的に下手人を挙げた自分の手柄に陶酔しながら群集の中へ捜るように瞳を射かけます。縄付の小染が救いを求めたのは、どこの誰だろうといった顔です。

お静は幸い人混みに隠れて、銅八の視線を避けました。が、平次が甲府から帰るのはいつのことやら判らず、お静の手一つでは、小染を救う工夫も付きません。

哀れ深い縄付の後ろ姿を見送って、お静の重い足は、両国橋を渡って、自分の家――平次の留守中近所の耳の遠い婆さんを頼んで留守番をさしている家――へ急ぎました。その途中、向柳原の荒物屋の二階を借りて不精な男世帯を持っているガラッ八の八五郎のことを思い出しました。

二

「八五郎さん、お願いがあるのですが――」

店先へガラッ八を呼出して、お静はこう切り出しました。

「留守見舞にも行かずに、姐御に歩かしちゃ済んませんね」

ガラッ八の八五郎は、昼寝起きらしい長い顔を撫でて、それでも世間並のことを言うのです。