Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
四
「良い匂いですね、親分」
「その匂いを覚えておくんだ。――あッ、人が来る、鼻を引込めろ、八」
四
「与八、ちょいと待った」
「ヘエ、これは真砂町の親分さん」
日傭取の与八は、急に立止まって、ヒョイとお辞儀をしました。喜三郎に声を掛けられなかったらそのまま知らん顔をして行く心算だったでしょう。
「どこへ行くんだ」
「ちょいと、その」
「ちょいとその、どこだ」
「ヘエー」
「ヘエじゃないよ、うさんな野郎だ。来いッ」
喜三郎にピタリと腕首を掴まれると、与八は一ぺんに悲鳴を挙げてしまいました。
「言いますよ、言ってしまいますよ。親分、勘弁して下さい。あっしのせいじゃありませんよ。三輪の親分が、誰にも言わずに、そっと持って来れば、褒美をやると言ったんで」
三十七八――不精髯に顔半分を包んだような、洗いざらしの半纏一枚の与八は、何もかもベラベラとしゃべってしまいそうです。
「何を持って行くんだ。出してみろ」
「これですよ、親分。――金五郎親方の裏の、崖の藪の中から拾ったんで」
与八は腹掛の丼から、古風な縞の財布を一つ出して見せました。
「それがどうしたんだ」
「お六の財布ですよ。こいつを首にかけて、婆アのくせに、ジャラジャラさせて歩いたことは、本郷中で知らない者はありゃしません」