Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
「江戸中の評判なんですがね、親分」
「何が評判なんだ」
ガラッ八の八五郎が、何か変なことを聞込んで来たらしいのを、銭形の平次は浮世草紙の絵を眺めながら、無関心な態度で訊き返しました。
「両国の女角力と銭形の親分」
「馬鹿野郎、俺を遊ぶ心算か」
平次は威勢の良いのを浴びせて、コロリと横になります。こうすると軒に這わせた、貧弱な朝顔がよく見えるのでした。
「へッへッ、怒っちゃいけませんよ。ところでね、親分」
「なんだい、うるさい野郎だな。少し昼寝でもさしてくれ。――女角力を毎日覗いているような目出たい人間とは付き合いたくねエ。木戸銭だってまともに払っちゃいないだろう」
「冗談じゃありませんよ。女角力を見たのはたった三遍だけですよ」
「三遍見りゃたくさんだ」
「四遍も見ると、嚏が出る」
「呆れた野郎だ。そんなものへ俺を引合いに出すのか」
「そんな心算じゃありません。ね、親分、女角力はちょいと話のキッカケをつけただけで、今日は親分の学の方を借りに来たんですがね」
「ガク?」
「学問ですよ、親分」
「大層なものを借りに来やがったな。そうと知ったら、昨日あたり二三百文ほど仕入れておくんだったよ」