Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
三
「あれッ銭形の親分」
上の方を向いて大きな声を出すのは、力及ばずと見て、二階に合図を送るつもりでしょう。
「えい、静かにせい」
平次はトントントンと一気に二階へ、唐紙をパッと開けると、中は思いきや空っぽ――
「おや?」
「親分、鴨は締めましたぜ」
裏口へ廻しておいたガラッ八が下から大きな声を出すのです。
「そいつを逃がすな」
裏口へ飛んで行ってみると、ガラッ八は中老人の六助を膝の下に敷いて正に「捕った」の大見得をきっているのです。
三
「もう一人はどうした」
「ヘエ――」
「娘の方はどうしたよ、八」
「知りませんよ。屋根から雨樋を伝わって降りて来たのは、この野郎だけで」
「馬鹿だなア、そんな爺はどうでもよかったんだ。行灯と草履と髢を出した娘に用事があるのだ」
「ヘエ――」
「ヘエじゃないよ」
平次が腹を立てたところで、それは八五郎の手落ちでも何でもなかったのです。
「親分、先刻合図をしていたんだから、どこかにいるに違いありません。この野郎を締めてみましょう」
八五郎の言うのが尤もでした。日頃そんなことをあまり好きでない平次も、十手と捕縄と、脅し文句で埒を明ける外はなかったのです。