Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
三
縊死の細工をするのに、死んだ娘の赤い扱帯を持出す番頭や親類もよっぽどどうかしております。
「で、主人を殺した細引は?」
「これでございます」
お茂与は押入を開けて、そっと隠しておいたらしい細引を取出しました。ほんの五六尺の麻縄ですが強靱で逞しくて、これは全く物凄いものです。
「それにしちゃ細引の跡が薄いようだ」
平次は死体の首筋を覗いて、そっと八五郎に囁きました。
「おや、こいつは何でしょう」
八五郎は萌黄の組紐を一本見付けたのです。長さは四尺くらいもあるでしょうか、細くて弱そうな紐ですが、先に結び目をつけて、ひどく埃で汚れているのが気になります。
「蚊帳の釣手でございましょう」
「まだこの辺には蚊がいるのかい」
「御主人様は大層蚊がお嫌いでございました」
お茂与は静かにその疑いを解きました。
三
倅の甲子太郎はまだ二十そこそこの若い男で、武家の匂いもない町人風ですが、一人の親を喪って逆上したものか、眼は血走り、唇もわななき言うことは悉くしどろもどろでした。
「気の毒だが、少し訊きたいことがある」
「…………」
甲子太郎は黙りこくって固唾を呑みます。
「お前さんも親旦那が自分で首を縊ったものと思っていなさるのかえ」