Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
五
「え、え、お染ちゃんにはそんな癖がありましたよ」
「そうすると袋羽が平になって、よく飛ぶらしいと言うんで、――ところが、小染は濃い口紅を付けていたから、喰い千切った時、美濃紙の羽根へチョッピリ紅が付く」
「え、それがお染ちゃんの愛嬌だったんです」
お静もよくそんなことを知っていました。
「ところが、小艶のこめかみに突っ立った吹矢の羽根は、無疵の美濃紙で、喰い千切った跡もなく紅も付いちゃいません、――役所で見せて貰ったんだから、こいつは間違いありません」
「まア」
お静の顔も活々と輝きました。
「あの吹矢は小染が飛ばしたんじゃないと言ってみたが、――駄目でしたよ。小染だって人一人殺す時だから、あわててもいるだろう。羽根を喰い千切らなくたって、そんな事は証拠になるものか――と銅八親分は以ての外の剣幕だ」
「まア」
お静は慰めようもありません。
五
銭形平次が旅から帰って来たのは、それから、三日経ってからでした。
お静とガラッ八が、交る交る報告する軽業小屋の不思議な殺しの顛末、平次は黙って聴いておりましたが、
「馬鹿野郎、何というヘマばかりするんだ」
少し苦々しく舌打をします。