Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

喜三郎に誘われて、平次はまず木戸を入って左側の按摩佐の市の家を覗きました。

「親分さん方、御苦労様で――」

按摩の佐の市はまだ二十四五の若い男ですが、眼が見えないだけに、早くも客の話し声を察して、丁寧に挨拶しました。

「佐の市さんだね。何か気の付いたことはないかえ」

平次は水を向けます。

「何にもございませんが――」

「昨夜あたり、何か聴いたはずだと思うが、お前は勘が良いようだから」

「そんなでもございません。眼は見えなくても、若い者はやはり床へ入るとすぐ寝付いてしまいます。それでも、親分さんがそうおっしゃると、夜中に眼を覚したとき、路地の中を犬や猫でないものが歩くような気がしました」

「裏口の方でなく、路地の中だね」

「ヘエー、路地の中に違いございませんが、それっきり私が眠ったのか、物音が止んだのか、覚えはございません」

「木戸を乗越した音は?」

「それならすぐ解りますが、そんな音は一向聴きません」

「木戸を開けた音がしなかったかえ」

「だいぶ前から金具が錆びていて、開け閉てに歯の浮くような音を立てましたが、二三日こっち不思議にそんな音が聞えなくなりました」

佐の市の答えはハキハキして、思いの外の収穫がありそうです。