Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
「八、行こうか」
「ヘエ」
廊下の嫁入りの調度の中へ、二三歩踏み出した時でした。
「あれは、親分」
母屋と離屋をつなぐ廊下の真ん中に坐って何やら蠢く姿が、遠い有明の灯に見えるのです。
「番頭じゃないか」
「お」
番頭の宇太松――まだ若くて働き者らしいのが、脇差を自分の腹に突立てて、のた打ち廻っているではありませんか。
「親分さん、――私だ。東海坊を殺したのは、この私、――宇太松でございますよ」
手負いは苦しい息を絞りました。
「何? そんな馬鹿な事が――」
平次と八五郎は、宇太松を左右から抱き起しました。主人の徳兵衛も驚いて飛んで来ます。
「抜け穴を塞いだのは、この私でございます――誰でもない、誰でもない。この、この、宇太松でございますよ」
尽きかける気力を振い起して、血潮の中にのた打ち廻りながら、宇太松はひたむきにこう言いきるのでした。
「宇太松。お前は、お前はまア。どうしたということだ」
大徳屋の徳兵衛は夢心地に突っ立ったきり、自分の代りになって死んで行く気の、宇太松の動機さえ判らない様子です。
「旦那、――私は死んでも思い置くことはございません。あんな山師を自滅させて、諸人の迷惑を取除けば」