Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
――八、お前からもよくお願いしておくれ」
八五郎の叔母までが一生懸命口を添えるのです。
「三輪の万七兄哥と張り合うのはイヤだが、八の叔母さんにまで頼まれちゃ嫌だと言えめえ。行ってみようか、八」
珍しくも平次は気軽に腰を上げました。
「有難え。それであっしの顔が立つというものだ」
と八五郎。
「たいそうな事を言うな」
二人は仕度もそこそこに、お谷婆さんに案内させて車坂に行くことになったのは、もう未刻(二時)過ぎでした。
「もう少し詳しく聴いちゃどうです、親分」
道々八五郎は、お谷婆さんの後ろ姿を指さし、平次に囁きました。
「無駄だよ、それよりは現場を見ることだ」
平次はお谷婆さんの説明で先入心を植付けられるよりは、自分の眼で最初から事件を直視する心算でしょう。
車坂の四方屋は東叡山数十ヶ寺の御用を承って、袈裟法衣は扱いませんが、かなり大きな呉服屋でした。主人の次郎右衛門は六十前後、これは持病があって、あまり店の方には出ず、五十年配の番頭平兵衛が采配を執り、手代喜三郎以下多勢の丁稚小僧を指図してますます身代を太らせるばかり。お勝手向きの方は殺されたお皆の意志が大きく働いて、誰も正面からはそれに楯つく者もなかった――という程度のことは、道々お谷の問わず語りから綜合されるのでした。