Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「フム」

「白紙の手紙が一本ずつ多くなると、店中は次第に暗くなります。いつどんなことがあるか、私達奉公人でも気になるくらいですから、主人の身になると、痩せるほど苦労なさるのも無理はございません」

「主人がどうかしたのか」

「二た月ばかり前から病人同様で、この四五日はお気の毒なくらい萎れ返っております。これで十二本目の手紙を受取ったら、どんなことになるか、あんまり心配なので、ツイ八五郎さんにお願いして、親分におすがり申し上げたようなわけでございます。――主人は? とんでもない、私がここへ参ったことも存じません。ヘエ」

若い手代の幸吉は、言いおわってそっと額の汗を拭くのです。それほど一生懸命になる手代の様子はツイ平次を乗出させるほどしおらしいものでした。

二

「その手紙は中は白紙でも、上書があるだろう。筆跡に心覚えはないのか」

平次はツイそんな細かいことまで訊く気になっておりました。

「一向に覚えはございません。なかなかの達筆で、一本一本判で押したように、同じ文字でございますが」

「男文字だろうな」

「ヘエ」

「紙や封筒は?」

「世間並の半切と細い封筒で、これもどこでも売っているような品でございます」