Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.230 Zeichen · 280 Bildschirme
どうぞ、御勘弁を願います。決して悪気でしたことではございません」
幸吉は板敷の上に額を埋めて、泣かぬばかりに詫び入るのです。
「そんな余計な事をするから、かえって事柄が面倒になるじゃないか――ことによれば二年前に死んだもとの主人やお前の父親の仇も討てるかも知れない。――物事を隠さずに素直に言うがいい」
「ハイ」
まさに一言もない幸吉です。
「二年前、曙井戸の茶碗が無くなって、いちばん儲かったのは誰だ」
平次は妙なことを訊くのでした。
「儲かった人なんかありません。損をした人ばかりでございます。先代の総兵衛旦那様と番頭の利八郎は自害をいたしましたし、私の父親は行方知れずになりました。それから浅田屋はこの通り左前になって、奉公人達も昔のようなことはございません」
「いや、その中で儲かった人間は一人や二人はあったはずだ。よく考えてみるがいい。――ゆうべ死んだ主人の徳次郎などはいちばん儲かった人間じゃないか、左前でも何でも浅田屋の身上が転げ込んで来たんだ。――その主人――徳次郎を怨んでいた者は誰だ」
「誰も――」
「いや、きっとあるはずだ。たとえばお前だ」
「えッ」
「死んだ一番番頭の利八郎の身寄りの者も、幾代も怨んでいないとは言えまい」