Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

平次は八五郎を誘い入れると、縁側に並んで掛けて、いつもの馬糞煙草にするのです。

「吉原の玉屋小三郎の店で、お職を張って居た薄墨という大夫を親分御存じですかえ」

「知らないよ、俺のところにはそんな叔母さんは無かった筈だ」

「ヘッ、素気無い返事だね、いかに御静姐さんがお勝手で聴いているにしても」

「つまらねえ気を廻しやがる」

「その薄墨が、どんな女だと思います、親分」

「よっぽど変っているのか、眼が三つあるとか、何んとか」

「嫌になるなア、世間でそう言って居ますよ、銭形の親分は大した人間だが、何んだって又あんなに野暮だろう――って」

「野暮でも箆棒でも構わねえが、その眼の三つある華魁はどうした」

「あ、まだ化物にこだわって居る――そんなイヤな代物じゃありませんよ、玉屋の薄墨華魁というのは、そりゃ大した女で」

「フ――ム」

「仲町をクヮッと明るくしたほどの女だ、上品で愛嬌があって、茶の湯生花歌へえけえ――諸芸に達して親孝行で」

「大変なことだね」

「この薄墨華魁に入れあげて、身上を潰したのが十六人、死んだのが三人」

「矢張り化物じゃないか」

「それを本郷三丁目の薬種問屋の若主人、吾妻屋永左衛門が、千両箱を積んで身請けをし、自分の家へ引取って内儀の位に据えたのはツイ二た月前だ」