Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
「――」
「で、一つ、妙なことを思いつきました」
「――」
落着き払った吾妻屋永左衛門の言葉に、妙な殺気をカキ立てられて、大井久我之助も、国分弥八郎も、思わず固唾を呑みました。
「もういいでは無いか、御主人、酒だ、酒だ」
弥八郎はそれを停めようとあせりますが、主人永左衛門の強大な意志に圧倒されて、今となってはもう、何んの力もありません。
「その酒で思いつきました――私は商売柄、ごく内密で長崎の異人から手に入れた、南蛮物の大毒薬」
「?」
「それを熱燗に解かして、一本の徳利に仕込みました――此処に酒の入った徳利が二本ございます。いづれも模様も何んにも無い、伊万里の白い徳利、一本には唯今申上げた南蛮物の毒酒が入って居り、一本には唐土から渡った、不老長寿の霊薬が入って居ります。この通り」
「――」
主人永左衛門は、盆の上に並べた二本の徳利を、物々しくも座の真ん中に据えたのです。
「私は薬種屋渡世の冥利に、この二本の徳利で、大井久我之助様と果し合いがいたし度いのでございます。このうち、毒酒の方を呑めば、肺腑を破って立ちどころに死にますが、薬酒の方を呑めば、不老長寿とまでは行かずとも、神気爽やかに、百病立ちどころに癒えると申します」