Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

「――」

「大井様と私は、どうせ並び立たない二人でございます。此先又お気が変って、暗がりから斬りかけられては、町人の私は防ぎようはございません。そこで、この二本の徳利のうち、どちらかを一本、先ず大井様に選んで呑んで頂き、残ったのを一本、私が呑むといたしたら如何なものでしょう」

「それは卑怯」

大井久我之助は勃然として膝を立て直しました。

「飛んでもない、――同じ形の徳利で、どちらに毒が入って居るか、それとも薬が入って居るか、この私にもわかり兼ねます。その上大井様に先に選んで頂き、残ったのを私の分ときめ、一緒に呑むとすれば、これほど立派な果し合いはあるまいと存じます」

「――」

「武家と町人の刀を抜いての果し合いよりは、此方がよっぽど公明正大ではございませんか――選ぶのは大井様が先でも、呑むのは一緒といたしましょう、さあ、大井様」

「――」

「臆れましたか、大井様」

「――」

「闇から飛出して、町人に斬りつけるのと毒酒薬酒の果し合いと、何方が卑怯か」

「――」

「――」

恐ろしい緊迫でした。行灯は丁字が溜まって、ジ、ジと瞬きますが、三人の大の男は瞬きも忘れて、互の顔を、二本の徳利を、洞ろな眼で見廻すのです。