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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

「大分遠いな」

「十歳の時孤児になって引取られ、掛り人とも、奉公人ともなく育てられて居ります」

そんな遠い血のつながりでは、先ずお夏には佐渡屋の身上を狙う野心はあり得ないと思っても差支えないでしょう。

「与之助は?」

「あの人はお内儀さんの遠縁の者で」

「直次郎と品吉は血のつながりは無いと言ったな――ところで、娘のお絹さんは、養子の品吉と一緒になるのを、嫌がって居るような事は無いのか」

「あんまり気が進まない様です、でも」

「でも?」

「品吉さんは良い人です」

「それじゃ、お絹さんに言い寄る者でもあるんだろう」

「え、与之助さんも、直次郎どんも」

お夏はこう言ってほのかに頬を染めました。

「お前にも縁談の口はあることだろうと思うが――」

「私なんかに、――両た親も、家もないような」

お夏は眼を伏せました。長い睫毛が濡れて、粗末な身扮も妙に物哀れです。

「でも、お前のきりょうなら、随分うるさく言う者もあるだろう」

お夏は黙ってしまいました。後ろに跟いて来る八五郎は、耳を掘ったり、鼻をかんだり応えを待ちましたが、それも失望に終りそうです。

「あれ、もう参りました」

お夏は救われたように顔を挙げました。