Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme
お艶は追い詰められた兎のように、部屋の隅に小さくなって、怨めしそうに平次を振り仰ぐのです。
「薊の三之助がどうして死んだか、――伊保木金太郎様が、こんな事をしなきゃならない、突き詰めた心持になったわけも、お嬢さんは知らないというのだね」
「私は、私は何んにも知らないんです。皆んなは、どうして、あんなに騒ぐのか――」
お艶はとうとう泣き出してしまいました。長い睫毛に伝わる涙が、大粒の真珠のよう、柔らかい頬から、赤い鹿の子の襟へ――。
それは言いようも無くいじらしい姿でしたが、平次は日頃にもなく執拗に、この泣き濡れる娘から、何んか引出そうとして居るのでした。
「お嬢さんは、あの伊保木金太郎様から、毎日手紙を受取って居るそうですね」
「――」
「それに返事を書いたことがあるでしょう、――お六にせがまれるか何んかして?」
「書きました、二度か、三度、もうこれからは、こんな手紙を下さらないように――と」
「昨日も書いたことでしょう」
「――」
「その文句を聴かして下さいな、お嬢さん」
「――覚し召しは有難いけれど、身分の違いもあり、人目もうるさいことですから――と書きました」