Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

お互に身動きもしなければ、物をも云わぬ。糸より細い仮面の両眼を通して、焔と燃ゆるまなざしが、空間に斬り結んだ。

一人がピストルを取出せば、相手も間髪を容れず、それに応じてピストルを握った。筒口と筒口とがお互の胸を狙って向き合った。

一歩、二歩、しさりはしないで、近づいた。両巨人の左手が、呼吸を揃えた様に、稲妻ときらめいたかと思うと、二つの銀塊が足元に落ち散った。ピストルはお互の右手から叩き落されてしまったのだ。

五分と五分の勝負だ。

兇器を失った二人は、次の瞬間、肉団と肉団とでぶつかり合った。飜える金色の衣、そのさなかに、冷然と笑い続ける三日月の口。

青白い月光の下に、転がり廻る黄金の眉間尺だ。斬り結ぶ虹だ。金色の戦だ。…………。

地下室の不二子は頭上のただならぬ物音におびえ、長椅子に俯伏して震えていた。

組んずほつれつ、肉団の転がり廻る音、けだものの様なうめき声、戦うものの、焔の呼吸さえも感じられる様な気がした。

死にもの狂いの闘争が、やがて五分間も続いた頃、パッタリと物音がやんだ。死の様な静けさ。

暫くすると、俯伏している不二子の身近に、物の蠢く気配がした。