Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
大空の縊死体
もう笑い声も聞えて来ぬ。闇の空の豆粒程の人の姿を見極めることは出来ぬ。と云って、どこにも逃げる所はないのだが、妙なもので、暗闇が人を臆病にする。敵の姿が全く見えぬのでは、何だか不安で仕方がない。
そこで一人の警官が名案を持ち出した。博覧会場内には、この塔の外にもう一ヶ所、探照燈が据えつけてある。それは今も現に活動して、白い棒を夜の大空に投げているのだ。この探照燈を塔の屋根に向けて固定し、今夜中賊の姿を照らし続けてはどうかという提案だ。勿論一同之に賛成、早速その手筈が取運ばれた。
程もなく、強烈な円光が、塔の屋根全体をクッキリと闇の空に浮き上らさせた。
群集は瞳をこらして、頂上の柱を見た。
と、その刹那、ドッと湧起る驚愕の叫声。塔の頂上には、全く予期しなかった大椿事が起っていたのだ。賊の姿が消えたのではない。黄金の守宮は、もとの屋上にへばりついている。だが、だが、アア、これはどうしたことだ。人々は余りの意外な出来事に、空を見上げたまま、茫然自失の体であった。
大空の縊死体
「産業塔」をとり囲んでいた数千の群集は、その時、探照燈の白光の中に、白い蜃気楼の様に浮び上った尖塔上の、非常に印象的な、美しくも奇怪なる光景を、長い後まで忘れることが出来なかった。