Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
怪しき声
この消防夫は、気でも違ったのか。金色の死体を革帯からはずすや否や、軽々と一振り振廻して、ポイと、その百五十尺の上空から、地上目がけて投げつけたのである。
黄金の衣裳は、キラキラと不思議な花火みたいに飜って、探照燈の円光をはずれ、闇の中を、流星の様に、群集の目の前の地上に落ちた。
落ちたと見ると、ワッという鬨声と共に、警官、青年団の提灯が、そのまわりに群がり寄った。一警官がツカツカと近づいて、金色の衣裳をつまみ上げて、グルグルと振り廻した。粂さんが投げつけたのも道理だ。この黄金仮面、黄金衣裳には中身がないのだ。つまり賊は仮面と衣裳とで案山子を拵らえ、首を吊ったと見せかけて、どこかへ逃げてしまったのだ。仮面や衣裳の芯には、賊の着ていた上衣やズボンやシャツなどが丸めて括りつけてあった。
怪しき声
賊はまんまと逃げ去った。だが、どこから? どうして? 不可能だ。塔のまわりは群集の垣、階段の下には警官隊が見張っていた。翼でもない限り、如何な怪物とても、この重囲を逃れる術はない筈だ。
塔内へ潜伏しているのではないかと、厳重な捜索が行われたがどこの隅にも影さえ見えぬ。