Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
鎧武者
追手の人々は心の隅でそれを感じていた。恐らく、読者諸君とても、同じ疑惑を抱かれたことに相違ない。
鎧武者
金色の小雀は、異常なる精神力で、僅に追手を逃れて美術館に駈け込んだが、一難去って又一難、追手を防ぐ為に締めた扉が、却って我と我身をとじこめる落し戸となってしまった。
外には扉を乱打する警官の声。内には薄暗い陳列場に、不気味な仏像の地獄絵巻。乏しい窓には凡て厳重な鉄格子だ。好んで牢獄に飛込んだも同然である。
小雪の顔は恐怖と焦燥の為に醜くひん曲っているのに、それを覆った黄金仮面は、相変らず三日月型の無表情な笑い顔。その笑い顔のまま、彼女は、丁度網にかかった鼠の様に、惶しく、みじめに、美術館内を駈け廻った。
どこにも出口のないことは分り切っている。だが、じっとしてはいられぬのだ。今にも、三好老人がやって来て、鍵で扉を開いたなら、ドッとなだれ込む警官の群、忽ち縛られることは知れたことだ。それから、護送車、法廷、牢獄、絞首台。身の毛もよだつ幻が、恐ろしい早さで次々と頭をかすめる。
いくら駈け廻っても無駄なことを悟ると、今度は、物におびえた獣の様に、彼女は部屋中で一番暗い隅っこへ、そこにニョッキリ立ちはだかっている、小桜縅の鎧武者のうしろに身を潜め、息を殺して、屋外の物音に耳をすました。