Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
「アラ!」
思わず漏れる恐怖の声。
不思議なことには、恋人の手触りがまるで違うのだ。
恋人同志というものは、顔や声ばかりでなく、身体全体のどんな微妙な隅々までも知り合っているものだが、その恋人の身体が、まるで別人の様に違って感じられるのは、どうしたというのであろう。
「マア、あなたは一体誰です。誰です」
彼女はクッションの隅へ、出来る丈け身を引いて、真青な顔で黄金仮面を見つめたまま、甲高い震え声で尋ねた。
金色の男は不気味に黙り込んでいた。ゾッとする程不表情な仮面の、糸より細い両眼が、じっと不二子さんの顔に注がれている。三日月型の口がニヤニヤと笑っている。
「早く、早く顔を見せて。……安心させて。……私、怖い!」
不二子さんが叫び続けるので、黄金仮面はやっと口を開いた。
「そんなに僕の顔が見たいのですか」
違う違う。決してあの人の声ではない。
「ヒイ……」
と云う恐怖の叫声。令嬢は袖で顔を隠したまま、猫の前の鼠の様に、もう身動きさえ出来ないのだ。
「何も怖がることはありません。僕はあなたの味方です。あなたを恐ろしい悪魔の手から救い出して上げたのです」
男は落ちついた声で云いながら、金色の仮面をはずした。