Japanische Klassiker mit Furigana
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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme
ひょっとしたら、お前などが夢にも想像しなかった、恐ろしい事が起るかも知れぬ」
老彫刻家は、何かに憑かれでもした様に、空ろな声で云った。
「お父さま、あたし怖い。そんなことおっしゃっちゃいやよ」
絹枝さんは、ダラリと力なく垂れた父の手を取って、甘える様にふり動かした。父の手は、まるで死人の様に冷たかった。
「絹枝、暫く母屋へ行ってくれぬか。わしを少しの間、一人で置いてくれぬか」
雲山氏は、力ない声で、妙なことを云い出した。
「マア、どうしてですの」
絹枝さんはびっくりして、父の青ざめた顔を見上げた。
「今に分る。何でもないのだ。心配することはないのだ。わしが呼鈴を押すまで、どうかあちらへ行っててくれ。少し考えごとがあるのだ」
父の声は、洞穴から響いてくる様に不気味な調子であった。
「ほんとうに、どうかなすったのじゃありません? 大丈夫?」
「ウン、大丈夫だ。サア、早くあっちへ行ってくれ」
絹枝さんは、何となく心残りであったが、父の言葉にはさからわず、その場を立去った。
母屋へ来て、茶の間で、女中達に、ゆうべの恐ろしい出来事を話していると、突然アトリエの方角から、バーンという異様な物音が聞えて来た。