Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

Lesen Sie 黄金仮面 (おうごんかめん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.357 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

樵夫の女房といった風体の四十女だ。

「オイ、今この道を漁師風の男が通らなかったか。お前と行き違いにはならなかったか」

波越氏が尋ねると、

「通りましただ。わしにぶつかって、詫言もしねえで、大急ぎで歩いて行きましたっけ。この近郷についに見かけねえ奴でごぜいますよ」という返事だ。

「そいつだ。よっぽど行った時分かね。どの辺でぶつかったのだね」

「つい、そこで。その山の曲り角でぶつかりましただから、まだ遠くは行ってますめえよ」

「よし、諸君、追駈けて見よう。道は一筋だ。それに先へ行けば繁華な町がある。もう逃しっこないぞ」

波越警部は、借着の背広にズボン下ばかりの珍妙な格好で、勇ましく叫んだ。刑事巡査から叩き上げた彼は、職人や土方の風体で捕物に向った経験も屡々あり、職務の為には風采を気にする様な人物ではなかった。

刑事三名と明智とが勇ましい追手の人数に加わった。警察署長を初め残りの人々は、舟でCに先廻りをする手筈だ。

山角を曲ると、見通しの利く真直な道が二三町続いている。だが、そこにはもう賊の姿は見えぬ。五人が、息せき走って行くと、土手に凭れて鼻たれ小僧が遊んでいる。