Japanische Klassiker mit Furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme
またひとりが拾って投げ上げた。三度めに、トムはそれを引ッたくって、
「ほんとだい! 聞いてみろ」
「だって、おまえとは、似ていないよ」
トム公、悲しい顔をした。
「なんといっても、現行犯だから、もう言い遁れの余地なし」
「そうよ、こん夜はもう、いくらプリンスが逃げようとしても、私たちで、暗いところへ連れて行って、童貞の洗礼をしてあげるよ。ね、みんな」
トム公は、女たちの淫らな眼交ぜを見まわして、
「童貞って、なんだい」
「だから、教えてあげるのよ」
「教えてくれよ、ここで」
「ここじゃ、教えられないわ」
「口でさ」
「口じゃ教えられないもの」
女たちの淫らな眼は、それを想像するだけでも媚液を分泌して、熟れた果物がおかれてあるように、トム公を眺め合った。
彼にも、何かしら分った。と共に、トム公は初めて阿片パイプを口に押しこまれた時のような陶酔と戦慄に衝かれて動悸をうった。
「あっちへ行け!」
「おおこわい、どうしたの」
「おいらは、今夜ここで、みんなと会う約束がしてあるんだから」
「あ……愚連隊。そう、何時に」
「十一時」
「じゃ、それまで、兵隊山へ来ない。でなければ、高島町の倉庫の裏」