Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
と、ほとんど息をつかずに論じたてて、最後に、
「身、封侯の位を得、蜀主の安泰を祈るなれば、はやはや甲を解き、降旗をかかげよ。然るときは、両国とも、民安く、千軍血を見るなく、共に昭々の春日を楽しみ得ん。――また、否とあれば、天誅たちまち蜀を懲し、蜀の一兵たりと、生きて国には帰すまいぞ。その罪みな汝の名に受くるものである。孔明、心をしずめてこれに答えよ」
と云い結んだところは、実に噂にたがわず、堂々たるものであり、また魏の戦いの名分を明らかにしたものだった。
敵味方とも鳴りをしずめ、耳をかたむけていたが、特に、蜀の軍勢までが、道理のあることかな――と、声には出さぬが、嗟嘆してやまない容子であった。
心ある蜀の大将たちは、これは一大事だと思った。敵側の弁論に魅惑されて、蜀の三軍がこう感じ入っているような態では、たとい戦いを開始しても勝てるわけはない。
――孔明がどういうか、何と答えるか。
かたわらに立っていた馬謖のごときも、心配そうな眼をして、車上の孔明の横顔を見ていた。
「…………」
孔明は、山より静かな姿をしている。終始、黙然と微笑をふくんで。
馬謖は思い出していた。