Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
――それは、魏帝の命によって、司馬懿が宛城から起ったことを告げたもので、それだけならよいが、司馬懿の智略をすくなからず称え、それに対処する万全の策を、何くれとなくこまごま注意してあることだった。
「なるほど、うわさの如く、諸葛亮は疑い深い仁だ……」
彼は、あざ笑って、ほとんど、歯牙にもかけず、書簡を巻いてしまった。そして自分の方から孔明へ返書をかき、すぐ使いの者に持たせて帰した。
待ちかねていた孔明の手へやがて返書がとどいた。だが孔明は、一読するや否や、
「咄。なんたる浅慮者だろう」
と、それを拳の中に握りつぶした。それでもまだ罵りきれないように、
「見よ汝孟達。そんな盲目にひとしい心構えでは、かならず司馬懿の手に死すであろう。……ああ、ぜひもない」と、暗涙をたたえたまま、しばし天井を仰いでいた。
「丞相、何をお歎きですか」
「馬謖か。この手紙を見い。……孟達の書簡によれば、たとえ司馬懿が自分の新城へ襲せてくるにしても、洛陽へ上って、任官の式を行い、それから出向いてくることゆえ、早くても一ヵ月の余はかかる。その間に守備は充分ととのうからご心配は無用と認めてある。