Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

お父上のおことばは、心外です」

義平太は涙をうかべて、語気を昂めた。

老齢の父親も、涙によわく、子の眼を見ると、すぐ自分の瞼も、赤くした。

しかし、頑固に、首を振ッて、

「それでは、そち達の誠意と、やっていることとが、矛盾しはせぬか。……最前からのはなしを聞いておると、賊の五人組のうち、女ふたりは、越前守様がお若い頃に犯した過ちの――悪縁をもつ母子ではないか」

「きょうまで、お父上にすら、秘くしておりましたが、まったく、その母子は、越前守様が、放埒の時代に、ふと契った女性と、その女とのあいだに生した御実子なのでございます」

「め、め、めッ相もない……」と、楽翁は、わが子の口から聞くのすら、身ぶるいして、世間の耳をおそれた。

そして、土のような顔色に、吐息をたたえて――

「伜よ。おそろしい事だぞ。ほかのお役儀ならば、まだ知らぬこと、人を裁く、大岡どのが、何ぞはからん、自身にそんな過去をもっていたと知れたら……世間の者の怒りはどうじゃ。お上のお咎めはもちろんじゃが、わしは、裁かれる人々の怒りが恐い。――止めい、止めい。この事件に手をつけることは、断じて、止めたがいい」