Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「では、北町奉行の者の手へ、あずけますか」
「ば、ばかを、申せっ。そんな、卑劣なわしではない。この楽翁とても、大岡どのの、得難い町奉行であることは、たれよりも存じておる。――かつての歴代の町奉行にはなし能わぬ市政や旧弊改革も、あの御仁は、やると信念しておられる。……だから、惜しいのだ」
楽翁も、息子におとらず、耳をあかくして、ことばも熱していた。
「たまたま、出ずべきときに出た得難い名奉行を、可惜、お若いときの一過失のため、むざんな敗北者として、地位を退かせ、さらにまた、世相の悪を、手を拱いて見ておるのは、かなしむべき良民のなげきだ。――五代綱吉公の代から、十数年ものあいだ、犬の下にもおかれて、やっと、吉宗公の御代替りを見……やれやれと長雨の雲の切れ間を見たように、ほっとしかけた今においてじゃ。どうあっても、大岡どのの如き人物を、腐った古池のような吏事の中に、生かしておかねばならん。存分に、働いていただかねばならん」
「だ、だからですよ! 父上――」と、義平太は、のり出して、確乎と、父の手をにぎりしめ、
「われわれ、若い市吏どもが、久しく渇望していたお奉行を、この人こそと、越前守様の人間に見たのです。