Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

そのお島は、もう四十ぢかい年だったが、どこかまだ水々しく、さっそく髪を洗ったり、箪笥からお次の着物を勝手に出して着こんだり、化粧するといったら、ずっと年下のお次よりも厚く塗って、時々、奥から、店さきの男客をのぞき見したりして、

(やはり江戸には美い男が多いね)

と、平気でそんなこともいう。

――が、お次は、そんなことを、左右太へ悲しんでいるのではない。

姉のお島は、久しい前に、上方へ流れて行って、女掏摸の兇状で、遠島になり、まだ、刑期の満たないうちに、島名主をだまして、脱走して来た身の上ということが、やがてお島自身の口から打明けられたからである。

(だがね、お次。わたしは、どうせ助からない体。いつまでおまえの厄介になってはいないよ。……ただ、離れ島で一生あのまま送って死ぬより、ひと目、もいちどお江戸を見て、したいことをやって、さッさと、おさらばしようと思って逃げたんだよ。その間だけ、頼みますよ。――奉行所が、つい目と鼻の先だからといって、密告なんかしたら、ただはおかないよ)

こういう姉が、肉親として、現われてみると、お次は、どう考えても、与力の御新造様になる資格は、もう自分にはないものと、心に、ひとりきめてしまった。