Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
家出していた姉さんが、急に家へ……帰って来たんですもの」
左右太は、笑い出した。――何のこッたと、わざと、表情していった。
けれど、お次は、かれが笑うほど、悲しんだ。泣きじゃくッてやまない程に。
そう思いつめた理由も、聞いてみれば、無理もない。左右太は、笑ったことを、すぐ悔いた。
かの女に、お島という、ひとりの姉があった。
お島は、浮気性で、まだ肩揚げもとれないうちから、町の男たちと、ほッつき歩き、親をすてて家出してからも、十幾年という間、風の便りも断っていた。
それが、前の月。――あの御隠殿下の手入れのあった翌日。ぶらと、
(ここが、私の生れた家だッてね)
と、物珍しそうに帰って来た。
お島が、家出した頃は、まだ石焼豆腐はしていなかった。日本ばし裏の、ただの豆腐屋だった。店を、こうしたのは、死んだ父親である。母は、中風で、いつも寝ていた。
――父が死んでも、店が繁昌しているのは、お次が、かんばん娘として、たれにも評判がよいからだった。
(おまえは、私を覚えていまいね。私は、おまえの姉だよ。あんまり、邪魔者あつかいにしないでね)
帰った日のその晩から、こんな言葉で、お次を悲しませた。