Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、まだ、自分からは打ってかからない米友は、何か思う仔細があるのか、ただしは誰人かに新しく堪忍の徳を教えられてそれを思い出したから、ここが我慢のしどころと観念しているのかも知れません。それをそれと知らずして、かさにかかっている金助は、噴火口上に舞踏していると言おうか、剃刀の刃を渡っていると言おうか、危険極まる仕事であります。

「何とか言えよ、このちんちくりん」

右の利腕を取られている金助は、この時ガーッと咽喉を鳴らして、米友の面上めがけて吐きかけようとしたから、

「野郎!」

ここに至って米友の堪忍袋の緒はプツリと切れました。片手に携えていた杖を橋の上にさしおくと、のしかかって来た金助を頭の上にひっかぶりました。米友の頭の上で泳ぐ金助を、意地も我慢も一時に破裂した米友は、そのまま橋の欄干近くへ持って行くと見るまに、眼よりも高く差し上げて、ドブンと大川の真中へ抛り込んでしまいました。

金助を川へ抛り込んだ米友は、物凄い面をして橋の上に置いた杖を拾い取ると、あっと驚く見物を見向きもせず、跛足の足を、飛ぶが如くに向う両国を指して走せ行ってしまいました。