Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「どこへ行った」

「杉の森の稲荷様へ願がけに参りました」

「何の願がけに」

「それは、兄が病気でございますから」

「その兄は幾つになる」

「あの……二十歳でございます」

「この夜更けに、丑の刻参りをするほど、その兄が恋しいのか」

「エ……」

「このごろのような物騒な夜道に、しかもこの淋しい柳原の土手を若い女、たった一人で出かけたのを、お前の親たちは承知か」

「いいえ、誰にも内密でございます」

「そうして、お前は死ぬほどにその男が恋しいのか」

「何をおっしゃるんでございます、どうぞ、お助け下さいまし、ここをお放し下さいまし」

「本当のことを言え」

「それが本当でございます、決して嘘を申し上げるような者ではございません」

「嘘だ、お前は淫奔者だ」

「いいえ、左様なものではございません」

「淫奔者に違いない」

「あ、何をなさるんでございます、あなたはほんとうに、わたしを殺して――」

女は身悶えして、からみついている蛇の口から逃れようとするが、いよいよそれは、しっかりと巻き締めて、骨身に食い入るようです。

「苦しいか」

「く、苦しうございます」

「さあ、もっと苦しがれ」

「死にます、あ、あ、息が絶えてしまいます、死んでしまいます」