Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「わたしゃ、何も見えやしません、ただ、だまって聞いていました」
「何を聞いていました」
「あすこで人が殺されたのを聞いておりました、女の人がなぶり殺しに殺されるのを、だまって聞いておりました」
「何ですって、女の人が殺された? 冗談じゃありません、嚇しちゃいけませんよ」
「嚇しじゃありません、かわいそうに、ぐっと抱き締められて、その上に刀で幾度も抉られました」
「ほんとに、そんな気味の悪いことを言うのはよして下さい、そうでなくってさえ、わたしはお前さんに留められてから、何だか凄くなって、怖くなって堪らないのですもの」
「どうしてまた、私は、あの人を助けて上げられなかったのでしょう」
「あの人だなんて、誰のことなんですよ、誰もいやしないじゃありませんか」
「あ、そうでしたか、お蝶さん、お前さんにはあの声が聞えませんでしたね」
「わたしにゃ、なんにも聞えやしませんよ」
「なぜ、私はあの時に、大きな声をして呼んで上げなかったんだろう、あの人が、あんなに虐まれて殺されている間、それをここにじっと立って、だまって聞いていた私の心持が、自分でわかりません」
「ほんとに何を言ってるんでしょうね、弁信さん、お前さんの言うことが、まだわたしにはサッパリわからない」