Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「しからば余談は明日のこと、御免を蒙りましょう」
なんとなく物のはさまったような心持で、兵馬は己れの部屋へ帰って寝ようとしたけれども、まだなんとなく心がかりであります。
次の間の物音によく心を澄ましているらしかったが、何に驚いたか兵馬は、ガバと起って隔ての襖を蹴開いて、お君の寝室へ跳り入りました。
お君は端坐して、その手には、さきほど能登守から贈られたという袋入りの短刀の鞘を払っていたのであります。
お君は能登守からの短刀の鞘を払って、あわやと見えるところでした。兵馬はその手を押えました。
「ここで御身を殺しては、能登守殿にも申しわけがない、甲州から頼まれた人たちへも申しわけがない、これまでの苦心が仇になる、短慮なことをなされるな」
兵馬に抑えられたお君は、それを争うことができません。お君としては、兵馬の寝鎮まるのを待って、用意の上に用意しての覚悟でありました。けれども、油断なき兵馬の心に乗ずることができませんでした。
「ああ、わたくしの身はどうしたらよいのでございましょう、あの立派な殿様を、世間にお面の立たぬようにしたのも、わたくしでございます、あなた様にこんな御迷惑をかけるのも、わたくし故でございます、生きていてよいのか、死んでしまってよいのか、わたしにはわかりませぬ」