Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「今っからこの姿で、吉原へも行けめえじゃねえか」

とがんりきが言う。

「そうよ」

「王子の扇屋へ泊ろうじゃねえか」

「いけねえ」

七兵衛が首を左右に振りました。

「どうして」

がんりきは笠越しに七兵衛の面を見る。

「あすこはこのごろ、役人が出入りをしている、滝の川の方に普請事があって、それであの家が会所のようなことになっているから、上役人が始終出入りをしているんだ」

「そうか」

がんりきも暫らく口を噤んでしまいました。口を噤んでも二人は、なおせっせと道を歩いているのであります。

「それじゃあどうするんだ」

がんりきが、また駄目を出しはじめます。

「どうしようか、お前よく考えてみな」

七兵衛は煮えきらないのであります。がんりきはそれをもどかしがって、

「考えてみなと言ったって、兄貴がその気にならなけりゃ仕方がねえ。実のところは俺らはモウ小遣銭もねえのだ、さしあたってなんとか工面をしなけりゃならねえのだが、兄貴だって同じことだろう。命からがらで甲州から逃げて来たんだ、ここまで息をつく暇もありゃしねえ、いくら人の物をわが物とするこちとらだって、海の中から潮水を掬って来るのとはわけが違うんだ」