Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「いいとも、いいとも、今もそのことで噂をしていたところだ、難船の時には、自分の身についているいちばん大事なものを海へ投げ込むと、竜神様のお腹立ちがなおるということだから、わたしゃあもう、この胴巻ぐるみ投げ込むことに、こうしてちゃんと了見をきめてるんですよ」
「わたしゃあまた、ここに持っているこの金ののべの煙管が、親ゆずりで肌身はなさずの品でござんすが、これをわだつみの神様に奉納するつもりで、こうして出して置きますよ」
「わしゃまた……」
「まあ待って下さい、皆さん、そんな物を纏めて投げ込んでみたって、この荒れは静まらねえよ」
「それじゃ、どうすればいいんだ」
「この船でいちばん大切なものを、たった一つ投げ込めばそれでいいでさあ」
「エエ! この船でいちばん大切な、たった一つの物というのは、そりゃ何だ」
「それがなあ……お気の毒だがなあ……」
と言って船頭は強盗をかざして、凄い眼をしてお角の面をじっと睨みながら、
「人身御供ということですよ」
「エ、人身御供?」
「昔、日本武尊様が、この海で難儀をなすった時の話だ、橘姫様という女の方が、お身代りに立って海へ飛び込んだことは先刻御承知でござんしょう、それがために尊様をはじめ、乗合の家来たちまで、みんな命が助かったのだ、つまり橘姫様のお命一つで、船の中の者が残らず救われたんだ、だから