Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
能登守を打ち殺せば、それでお君の眼を醒まさせることもできたろうにと思い返して、地団駄を踏むのでありました。
米友の頭では、今でもお君はさんざんに能登守の玩び物になって、いい気になっているものとしか思えないのであります。間の山時代のことなんぞは口に出すのもいやがって、天晴れのお部屋様気取りですましていることは、思えば思えば業腹でたまらないのであります。
短気ではあったけれども、曾て僻んではいなかった米友の心持が、ようやくじりじりと呪われてゆくことは、米友にとって重大なる不幸であると共に、斯様な単純な男を一途に呪いの道へ走らせることは、その恨みを受けた者にとっては、かなりに危険なことでありました。
米友はそこに突立って唸り、歯がみをして独言を言って、通る人を不思議がらせ、ついにその周囲へ一人立ち二人立つような有様になった時に気がついて、
「覚えてやがれ」
歯を食いしばったままで、サッサと人混みを通り抜けて、他目もふらずに両国橋を渡って行く挙動は、おかしいというよりは、確かにものすさまじい挙動でありました。
「何だあいつは」
通りすがる人が、みな振返って米友の後ろを見送るほどに、穏かならぬ歩きぶりであります。