Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

身体はこうして人並より、ずっと小柄であるのに、頭部のみがすぐれて大き過ぎるせいか、前こごみに歩いていると、身体が頭に引きずられそうで、ことにその頭が法然頭――といって、前丘は低く、後丘は高く、その間に一凹の谷を隔てた形は、どう見ても頭だけで歩いている人のようであります。

「え、何ですか、どなたが、わたしをお呼びになりましたか」

この頭の僧侶は急にたちどまって、四辺を見廻しました。見廻したけれども、そのあたりには誰もおりませんでした。いないはずです、実は誰も呼んだ人は無いのだから。それにも拘らず、かんのせいか知らん、しきりにその異様な頭を振り立てて、聞き耳を立てていました。どうも、この人は眼よりは耳の働く人であるらしい。いや、眼が全く働かない代りに、耳が一倍働く人であるらしい。

「弁信さん」

今度は、たしかに人の声がしました。姿はやっぱり見えないけれども、それは焚火の燃え残っている四丈八尺の巨杉の幹の中程から起ったことはたしかであります。

「エ、茂ちゃんだね」

頭の僧侶はホッと息をついて、金剛杖を立て直して、巨杉の上のあたりを打仰ぎました。

杉の枝葉と幹との間に隠れている声の主は誰やらわからないが、それが子供の声であることだけはよくわかります。