Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「知らぬものは知らぬ、近ごろ珍しいほど執念深い奴じゃ、その分で置くではないけれど、拙者もこのごろは世を忍ぶ身じゃ、今日は許しておく、帰らっしゃい」

「いいえ、こうして参上致しました以上は、お尋ね申した御返事をお聞き申すまでは、この座を立ちませぬ」

と言いながら兵馬は、右の腕を伸べて、外側から大きく神尾主膳の首を抱きました。

「汝れ、この主膳を……手込めにしようとするな」

「お返事をお聞き申すまでは、こうしておりまする」

兵馬は外から大きく神尾主膳の首を抱くと共に、力を極めてそれを自分の胸へ押しつけました。

「アッ、苦しい」

主膳は苦しがって眼を剥きました。苦しがったけれども、これは金助とは違います、たとえ今の自分が世を忍ぶ身であろうとも、かりにも神尾主膳ほどのものを捉えて、腕力で強迫して物を尋ねようとは言語道断の無礼であるという怒りは、その苦しさと一緒にこみ上げてきました。いわんや年もゆかぬ小童、見も知らぬ推参者にかかる無礼を加えられては、死んでも弱い音は吹けないのが神尾としての身上であります。それだから苦しいのを堪えて、ジタバタしながら兵馬を押し退けて、刀を抜こうとするのであります。