Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
万字楼に踏み留まった道庵は、相変らずそこで飲んでいるかと思えば、決してそんな呑気な沙汰ではありません。担ぎ込まれた敵味方の療治とその差図で、てんてこ舞をしているのであります。万字楼そのものが野戦病院みたようで、道庵先生は軍医正といったような格でありました。ここに至ると道庵先生の舞台であります。外へ出しては骨無しみたような先生が、この野戦病院の中で縦横無尽に働く有様は、ほとんど別人の観があります。打身は打身のように、切創は切創のように、気絶したものは気絶したもののように、繃帯を巻くべきものには巻かせたり巻いてやったり、膏薬を貼るべきものには貼らせたり貼ってやったり、上下左右に飛び廻って、自身手を下し、或いは人を差図して、車輪に働いているところは、さすがに轡の音を聞いて眼を醒ます侍と同じことに、職務に当っての先生の実力と、技倆と、勉強と、車輪は、転た尊敬すべきものであると思わせました。
ただあまりに勉強と車輪が過ぎて、火鉢にかけた薬鑵の上へ膏薬を貼ってしまったり、ピンピンして働いている男の足を取捉まえて繃帯をしてしまったりすることは、先生としては大目に見なければなりません。